Mobius Ring童話【灰かぶり】



 昔々、ある大きなお屋敷にシンデレラという少女が優しい両親と住んでいた。
 だが、流行の病でシンデレラの母親が死去。悲しんだ父親は新しい母を連れてき、シンデレラに紹介したのだった。

父:ユーリ「(何だってこんな阿呆な事をしないといけないんだ…!)し…シンデレラ、新しいお母さんだ」
義母:アリーネ「初めまして、シンデレラ。アリーネと申します……」
シンデレラ:タナ「は…初めまして…お義母様……」

 新しい母親には双子の子供がおり、シンデレラの義姉となった。

義姉1:レイニー「レイニーよ。よろしくね、シンデレラ。(誰がこの配役にしたのよ…(怒))」
義姉2:マリア「………。マリアです……(嗚呼、タナ可哀相……)」
父:ユーリ「(年がシンデレラの方が上なんじゃ…?)」
ナレーション:フレイ「黙れ父役」
父:ユーリ「…………」

 二人の義姉は母親に似てなく、金髪碧眼の美少女だった。


 それからシンデレラの家族は幸せに暮らしていたが、数ヶ月後。父親が本当の母の時と同じように病にかかって死亡してしまったのだった。(ゴメンよ、ユーリ……(笑))


「シンデレラ! あたしのリボン、何処行ったか知らない!?」
「シンデレラ。お姉様のドレスの修繕が終わりましたら、こちらのドレスもお願いしますね」

 父親が死去してから、二人の義姉のシンデレラに対する態度が激しく変化した。
 ヒステリックにシンデレラをパシリにする上の義姉レイニーと、穏やかな微笑を浮かべつつ腹黒い下の義姉マリア。挙句の果てには、

「シンデレラ。近くの森まで行って、薬草を採って来て下さい」

 この劇でなくても弟子をパシリにする義母アリーネ。

「は、はい。ただいま……」

 三人の女共によって、シンデレラはこき使われ、黒く艶やかな髪が暖炉の灰を被りすぎて灰色へと変化してしまっていた。



 それから数日後。
 王子の伴侶を決める為の舞踏会が三日後、王城で開かれる事になった。
 城から招待状が来た義母と義姉達は、絶対王子をモノにしてやると気合満々で準備を始めた。

「やっぱり、あたしはこの目立つワインレッドのドレスで行くわ」
「では、わたくしはこちらの紺色のドレスで……」

 義姉妹はクローゼットから色とりどりのドレスを引っ張り出し、漸く着ていくドレスを決めたようだ。
 シンデレラは義姉達のドレスを丁寧にクローゼットにしまいつつ、話を聞いていた。

「お母様はまた黒いドレスですか…?」
「ホント、葬式じゃあるまいし……。アレも別の意味で目立つわよね……」

 苦笑いを零しつつ、二人の義姉は部屋を出ていく。シンデレラはドレスをなおし終わり、屋敷中の掃除へと取り掛かった。




 そして三日後。
 義母は黒いドレスを着、二人の義姉は対称的な色のドレスを着て王城へと向かった。

義母:アリーネ「留守の間、サボらず掃除、洗濯をきちんとやるのですよ」
義姉1:レイニー「泥棒が入らないように、しっかり留守番するのよ」
義姉2:マリア「では、行って参ります」

 三人は好き勝手にシンデレラに言い残し、馬車に乗って舞踏会へと旅立った。真面目なシンデレラは言われた通りに掃除、洗濯をやっていく。
 日が暮れ、教会の鐘が鳴り響いた後、己の夕食を作っていたシンデレラの真後ろに、光が溢れ、茶髪に翡翠の瞳の少年が現れた。

魔法使い:ダリ「ご機嫌麗しく、シンデレラ」
シンデレラ:タナ「………誰ですか…?」

 急に少年が現れたにも関わらず、シンデレラはさほど驚かず、少年の為にお茶を淹れ始めた。

「お茶はいいよ。それより……僕は魔法使いダリ。シンデレラ、君は王城の舞踏会に行きたいんじゃないの?」
「別に興味ありません」

 即答。後沈黙。

 暫し沈黙が続いた後、魔法使いダリはもう一度尋ねた。

「王城の舞踏会に行きたいよね…?」
「…………」

 シンデレラは面倒だと答えることをやめた。するとそれを肯定と取った(話が進まない為)魔法使いダリは両手をシンデレラにかざして呪文を唱え始めた。

「服をドレスにしたりカボチャを馬車にしたりネズミを白馬にしたりする呪文は無いけど……兎に角えいッ★」

 少年の両手から淡い桃色の光が放たれ、シンデレラを包み込む。
 次の瞬間には、灰を被って薄汚れていた服が真っ白な重いドレスになり、灰色だった髪も黒く艶やかな髪へと戻っていた。そしてボロボロだった布の靴は履き難く靴擦れを起こし易そうなガラスの靴になっていた。
 今日の晩御飯と決めていたカボチャは大きな馬車へと変化し、偶然排水溝から姿を見せた運のない二匹のネズミは白馬へと変わってしまった。

「12時の鐘が鳴ったら元に戻るから気をつけてね。それじゃ、楽しんでらっしゃいー♪」

 シンデレラを無理やりカボチャの馬車に乗せ、ヒラヒラと手を振りながら魔法使いダリが笑顔を浮かべた。
 別に舞踏会に興味は無かったシンデレラだったが、折角の好意を無駄にする訳にはいかないと考え、王城へ向かった。




 カナムーン国お抱えの音楽隊が奏でる曲に乗り、ある人達は優雅に踊り、またある人達は食事をしたりお喋りをしていた。

「どうだ? 王子の好みの女性は居るか?」
「そうですね……」

 呟き、王子は会場を見渡す。ふ、と王子の目が捉えたのは、葬式時のような黒いドレスを着た黒髪の女性率いる金髪の双子の姉妹だった。
 国王も王子が見ている方を向き、うんうん頷く。

「陛下、ダンスのお相手を頼みに行って参ります」

 白いマントを翻し、青い豪奢な服で着飾った銀髪の王子は、先程発見した金髪の双子の姉妹の、紺色のドレスを着た少女の元へ駆け寄った。

王子:エルス「マリアード王女! 是非私とダンスを…!」
義姉2:マリア「まぁ、エルス王子……。そうですね、たまにはいいかも知れませんね」

 王子が差し出す手をマリアは取り、舞踏会会場の中央へと歩いていった。
 二人と入れ替わるように、赤い服を身に纏う茶髪の青年が義姉レイニーの元へとやってくる。

王子2:マキ「良ければ私と踊りませんか…?」
王子3:ソリューネ「ちょっと待った! そもそもあんたは王子じゃないじゃないか!」
王子4:カレン「言えてる。こら、そこの白い服着てるやつ」

 王子カレンはレイニーの側に向かおうとしていた、白く丈の長い服を着た金髪の青年を捕まえた。

「フレイ! お前はナレーションをやってるんじゃなかったのか!?」
「はっはっは。俺がキャストを決めたから、俺がナレーション以外をやっててもおかしくないだろう」
「ズルっ。こっちは出番が殆ど無いんだぞ!?」
「俺が決めたから出番が無くて当然」
「お前なぁ!」

 騒ぎ始める青年達。踊りや会話を止めて遠まわしに見る人々。
 レイニーはどうしようかと見守っていると、不意に手を取られた。
 驚いて顔を上げると、黒い正装を着た黒髪の青年が立っていた。

「シンデレ……じゃなくて、タナ!?」
「行きましょう、レイニーさん」

 微笑んで青年はレイニーの手を引っ張って歩き始める。二人に気付いた先程まで騒いでいた青年達が慌てて追いかけた。

 タナとレイニーは廊下を歩いていた金髪の女性(アイミ)にガラスの靴の片方を渡し、城を出た先にある階段に片方を放り捨てて屋敷へと戻った。
 王城では更に騒ぎが起きていたが、二人は特に気にせず魔法が解けて元に戻ったカボチャを仲良く食べたそうな。



 〜おしまい〜




●反省会●
ダリ「懺悔しなさい」
朔也「ご免なさい……。私が悪かったです。だって急にメビウスキャラでシンデレラをやりたいなーって思い立ってー」
ダリ「それでやり始めるんだから、恐ろしいよねー……。しかもオチが良く分からないし前の馬鹿話と似てるし終わりがいい加減だしアイミの存在を忘れていたし?」
朔也「ご免なさい……(滝汗)。いやさ、普通にシンデレラをやってもつまらないだろうって事で、ああいう風にしたんですけど。初めはレイニーをシンデレラにして、普通に話を進めるつもりでしたが、それじゃあつまらないのでタナに……」
ダリ「タナファンの皆様、馬鹿な作者で申し訳ないです。この通りグサリと刺して十字架に張り付けておきましたから安心して下さい」
朔也「ぎゃーーッ!!!(血)鎖は赤にしてーッ!!(謎)藁人形には髪の毛入れたり写真貼り付けたりしないでーーッ!!次は人魚姫か赤頭巾か白雪姫でもやろうかと思いま……!」
ダリ「煩い」
朔也「え?桃太郎?タナが桃太郎なら猿はカレンでー、犬は……」
ダリ「強制終了」




おまけTOP * メビウスTOP

Copyright 2001-2010 (C) Kyouri Sakuya